まち

歴史の散歩道「麻布山善福寺」〜まちのデザインを考える〜

 大江戸線麻布十番駅から徒歩5分にある麻布山善福寺を訪れました。麻布十番のまちは昔からの商店と新規出店の商店が力を合わせてまちを盛り上げる試みをしています。素敵な和食器のお店やお香の専門店がありましたが、お香専門店では「もし、鯛焼きを買うなら、予約をしたほうがいいですよ」など、とても気さくに声を掛けてくださいました。小さな出会いと交わした言葉でこのまちが好きになりました。
 私たちが目指す善福寺は福沢諭吉の墓や越路吹雪の碑でも有名ですが、安政の仮条約調印以降、明治初年までアメリカ公使館がおかれ、ハリスらが居住したことでも知られています。また、「逆さ銀杏」や(樹齢は推定750年の東京都内最大の銀杏で国指定天然記念物)や都内でも数少ない湧水の「柳の井戸」でも有名です。
しかし、参道から思わず目に飛び込んできたのは善福寺の背後にそびえる大きな建築物でした。これは高級高層住宅で、そのコンセプトは「森の都市」だそうですが・・・。予想していなかったこの景色に唖然としてしまいました。気を取り直して参道を進むと「柳の井戸」がありました。水量は減ってきているとはいうものの、今なお湧き出る水が心を静めてくれ、癒されました。その先左手にある立派な銀杏(逆さ銀杏)を見上げ、昭和20年の東京大空襲での焼失からよくぞ逃れてくれたと、思わず手をたたいて賞賛していました。
 すばらしい物が多く残っている善福寺に感銘しつつも背後にそびえ立つ巨大なコンクリートの塊に心が凍りついたようでした。残したい・守りたい空間や街並みは周りとの調和が本当に大切です。これからの都市開発やまちづくりには周囲のデザインをトータルして考慮すべきだと痛感しました。これからの開発はどうあるべきなのか?この写真からみなさんも考えてみてください。(Y子)