旧山手通りのしゃれたブティックなどを眺めつつ、代官山交番を右に折れると目的地です。そこには、代官山のおしゃれな雰囲気とは全く違った空間がありました。5〜6年前にこの旧朝倉邸が競売にかけられる可能性が出て、保存を願う市民活動が起こり、研究活動や署名活動を行いました。当時、保存を熱く語っていた知人の顔を思い浮かべながら観覧しました。
旧朝倉邸の敷地は南斜面を庭として利用し、敷地の北側に建物を配置しています。主屋は2階建てで、ほぼ全室が畳敷きとなっています。木材をふんだんに使われているこの家は、窓のレールも堅木材で作られています。5cm位の固い木をレールのように繋ぎ、金属は使われていません。錆びないことと、壊れた部分のみを取り替えるだけで済むことから、メンテナンスしやすくなっています。冬の寒い日であったにもかかわらず、南側からの日差しが十分室内に取り入れられ、広い屋敷内の空気さえもほのかに暖めるほどでした。この1階の恵まれたスペースを家族の日常生活の場にしていたそうです。私は関東大震災にも耐え、第2次世界大戦の戦禍からも逃れることができた朝倉邸に、都会にありながら故郷を感じることができる日本の家を想いました。
現在の都心では、昔からの空間を上手に残していくことは、まちづくりの視点からも外すことができないポイントです。また、こういった場所を残すために周辺のまちづくりをどうデザインするか?これもまた重要です。関東大震災を逃れることができた建築方法など、学べることも多いのではないでしょうか?
木のぬくもりのある家、鳥が飛び交う回遊式庭園を今度は春と秋に訪れる予定です。
*観覧料は一般100円、小中学生50円です。
<情報>
2009年1月18日(日)に旧朝倉邸でお抹茶が振舞われます。11時半〜と13時半〜の2回 時間帯など詳細は03(3476)1021へお問い合わせください。
<次回予告>
とても素敵な都会の一角、でも顔を上げるとギョッとするような背景のある場所をご報告します。まちづくりは、全体のデザインが大切だと思います。目黒のまちもみんなでデザインしたいものです。