平成21年5月21日スタート!まず、年内に候補者に通知が来る

いよいよ始まる裁判員制度  −おひさまレポート62よりー

学習会報告 

◎裁判員制度とは?
 国民が裁判に参加し、裁判官と一緒になって、有罪や無罪、刑の内容を決めていく制度です。
国民の視点や感覚が反映され、裁判を身近に感じられるようになることで、司法に対する理解と信頼を深めようとするものです。さらに、裁判期間の短縮や、犯罪の抑制なども期待されています。 ・・・中略・・・
 
◎どのようにして選ばれるの?
 20歳以上の有権者は、原則として裁判員候補者の対象となります。くじで選ばれ、候補者名簿に載ると、1年間(4月〜翌年3月まで)は裁判員になる可能性があります。候補者へは、前年の12月頃に通知・調査票が送付されます。候補者になったからといって必ずしも裁判員を引き受けなくてはならないわけではありません。調査票によって認められれば、1年を通じて裁判員を辞退することができます。
  ・・・中略・・・
 裁判の期間は、7割の事件が3日以内で終わると想定されていますが、5日以上かかる場合も1割ほどあるだろうと予想されています。裁判は、裁判員の負担にならないように連続して開かれるようになります。 

◎どんなことをするの?
 裁判官と同列に着席し、公判に出席します。提出された証拠品などを取り調べるほか、被告人や証人に質問をすることができます。その後、証拠に基づいて、有罪か無罪か、有罪の場合はどんな刑にするべきかを裁判官と議論し(評議)、決定(評決)します。裁判員の意見は裁判官と同じ扱いになります。全員一致の評決が得られない場合は、多数決によって決められ、有罪であると判断するためには、裁判官、裁判員のそれぞれ1名以上を含む過半数の賛成が必要です。
 評決が決まると、法廷で裁判長が判決の宣告をします。裁判員の仕事はここで終了します。
公判と判決の宣告は公開されますが、評議・評決は非公開です。裁判員は評議の秘密を守らなければなりません。秘密を漏らす行為には罰則があります。また、裁判員には、交通費の実費と1万円を上限に日当が支払われます。

◎目黒区ではどうなっているの?
現在、目黒区では有権者名簿から無作為抽出で824名が裁判員候補者に選ばれています。候補者には11月〜12月にかけて「候補者になりました」という通知が送られてきます。裁判員になる可能性は230名に1人の確率です。一度候補者になったからといっても、次年度は新たに無作為抽出するので、続けて候補者になる可能性もあります。 

◎「裁判員制度を使いこなすために。」
 被告人を有罪と判断したり、量刑を決めることは重荷に感じてしまいますが、控訴や上告によって高等裁判所や最高裁判所での判断を仰ぐことができます。自分ひとりの意見で全てが決まるわけではないので、むやみに不安に思うことはありません。しかし、裁判員を辞退する理由が裁判官に認められなければ拒否することができないことや裁判員候補者の生活実態や思想などを含めた詳細な個人情報が集められること、量刑は検察が示したものが判断材料となるため限られた時間の中で正当な判断ができるかなど、課題も見えてきました。すでに準備が進んでいる制度のため市民としては客観的に事件を見つめる目と制度を育てる視点が必要だと感じました。

裁判員制度についての問い合わせ先
最高裁判所  http://www.courts.go.jp/
法務省    http://www.moj.go.jp/
日本弁護士連合会  http://www.nitibennren.or.jp/