介護保険制度が導入されて5年目となり、見直しの時期を迎えています。生活者ネットワークはこれまで家族に負担が偏っていた介護を社会全体で支えようと介護の社会化をめざしてきました。見直しにあたり、在宅サービスでは「介護予防サービス」、施設サービスでは「居住費と食費の自己負担」が導入され、給付抑制が強く、制度の目的であった「介護の社会化」や「選択できるサービス」とは程遠いものとなっています。介護が必要になっても自分の家で暮らせるよう、利用者側にたったサービスの充実が必要です。
介護の現場から
介護保険について、詳しく知っている人はどの程度いるのでしょうか?40歳以上の方は保険料を支払っているのですから、何らかの恩恵を受けたいものですが、介護が必要な状態になって初めて使えるものなので、利用しないまま一生を終える人もいます。だからと言って「とりあえず申請してみるか」とか「せっかくなのだから、やってもらいなさいよ」というのも困ります。介護認定を受けた方が、その人らしく生活するために必要なプランを考えるのが、ケアマネージャー(介護支援専門員)の仕事となるわけです。
私は介護の仕事に就いた時から認知症の方のお世話をさせていただくことが多く、ケアマネージャーになった今でも、たくさんの方と関わらせていただいています。いろいろな事が思い出せない、出来た事が出来ないなどの不安を抱えながら、家族に迷惑を掛けたくないと思っていらっしゃる方とたくさん出会いました。家族の介護は24時間365日休むことなく続いていきます。夜中であっても待ってくれません。そんな夜間の対応は、家族がするしかないのが現状です。逃げ出すわけにも行かず、疲れきっている家族にもたくさん出会いました。
求められるサポートそしてメニュー
そんな中で、認知症の方には《今》に対応できるサービスが必要なのではないかと考えています。プランに沿わせるのではなく、行動に合わせてその場で対応できるような人と場所の確保ができれば、不安なお年寄りのペースに合わせることができるし、家族が一人で抱え込むこともなくなると思うのです。しかしながら、いつ必要になるか分からないのに人員を確保することは現状では困難です。そのため対応しきれない家族は、施設入所を考えるわけです。施設入所が悪いとは決して思いません。その方にとって居心地のよい場所であれば、むしろ幸せだとも思います。ただ、やむなく施設を選択するという方がいることも事実です。いつでも助けの手があっていつでも泊まれる場所があったら、どんなに心強いことでしょう。
地域で住み続けるために
平成18年4月の改正で「地域密着型サービス」が導入されます。住み慣れた地域で完結できるサービ体系が実現できれば、お年寄りも家族も穏やかで笑顔を忘れず過ごしてもらえるのではないかと思うのです。各自治体がどこまで地域で暮らすお年寄りとその家族を支えられるか、地域力も問われるのではないでしょうか?
介護支援専門員 佐戸義江