松元ヒロさんのライブのお誘いがあり、なにやら政治に物申すお笑い芸人がいるとお名前だけは知っていたので、すぐさま友人を誘って出掛けました。
現代の世相を風刺した表現はなんとも言えず面白く、ナチュラルキラー細胞が私の身体の中からどんどん沸きあがってきました。しかし、そんな中に物事の本質を見つめ直して考えてみるという姿勢を感じ共感しました。
私はお年寄りと関わる仕事をしているため、この時期になると戦争体験を聞かせてもらう機会が多くあります。戦地に行って戦友を亡くしたり、抑留され命からがら戻ってきた男性や、空襲の中で逃げ回り、自宅に戻ってみたら身近な人達は防空壕の中で焼死してしまっていた女性。息子を戦争で亡くし、それまでは毎日手を合わせていた神社に、二度と御参りしなくなったしまった母親の話をしてくれた人もいました。そんな体験をされた方に、私は必ず「あの玉音放送を聴いてどう思われましたか?」と質問をしてみます。たくさんの人にお聞きしましたが、「これでやっと終わった」「もう怖い思いをしなくてすむ」といった答えが返ってきます。実際、戦地にいて「勝てると思っていなかった」と話してくれた方もいました。今だから言えることなのでしょうが、皆そんな風に思っていたようなのです。
あの戦争で日本が唯一得たものは、『二度と戦争はしたくない』という思いだったのではないでしょうか?ヒロさんの話は、日本国憲法がどんな意味を持って生まれてきたかを、分かりやすく心の奥に突き刺さるように語ってくれています。戦争体験をしている方の話をたくさん聞く機会に恵まれた私としては、今の学生たちに聞いてほしい、考えるきっかけにしてほしいと強く思いました。
ヒロさんのライブは、日本が経験してきた真実をしっかりと理解し後世に伝えていくことの大切さを認識し、憲法について考える機会となりました。
最後になりましたが、800円という格安な料金で素晴らしい時を過ごさせていただいたスタッフの皆様に感謝いたします。ありがとうございました。
佐戸 義江