育ち盛りの子どもがいる我が家にとって、毎回の食事は楽しみであり話題を提供するために重要な役割を担っています。家族はみんなで一緒に食べるものがあれば自然に話が弾みます。不思議とテーブルの上が空っぽだと話が続かないのです。
私は、いわゆる小鉢料理が好きなため、たくさんの種類の食材を使いますが、ふとテレビから「BSE問題で・・・」という報道が耳に入ると「えっ、今日のおかずは大丈夫かしら?」と食卓を見回すことがあります。先日も、アメリカのライス国務長官が来日して牛肉の輸入再開を迫ったと知りました。アメリカの安くて美味しい牛肉があれば、お小遣いの少ない夫も牛丼を食べられるのに・・・。と思う反面、足腰が立たず死んでいく牛の映像が脳裏をよぎり、本当に食べても大丈夫なの?という不安に駆られたりします。
現在、日本では牛肉の全頭検査を実施していますが、輸出する立場のアメリカは生後20ヶ月未満の牛は安全だから検査不要と言っています。しかし、そんな状況の中、内閣府の食品安全委員会プリオン専門調査会は生後20ヶ月以下の検査の除去を了承するという内容の報告書を提出することが決まりました。提出後は一般の意見募集を経て、厚生労働省と農林水産省に答申し省令改正となり、夏ごろには全頭検査の義務はなくなります。都道府県が全頭検査を続ける場合には、3年間は検査料を国が負担する事になるらしいのですが、一体何が起こっているのか、なぜそれでよいのか、その根拠は私たち消費者にはわかりませんし、その安全だとされるボーダーラインが理解できません。このままの流れでは、飼料の追跡調査を100%行っていないアメリカからの牛肉輸入は問題なし!となってしまいます。全頭検査には莫大な経費がかかるらしいのですが、それは生産者の立場に立った考え方で、消費者の立場に立っていないとしか思えません。万一、健康を損なう可能性がほんの少しでもあるのであれば、やはり検査が必要だと思います。国産であっても、決して安全であると言えない事態が起こりそうです。
このような心配は牛肉だけではありません。遺伝子組み換え作物も同様です。私たち消費者はこの食材はどのように作られているのか、全てがわかる表示があれば選ぶことができます。選んで買い求めることができれば、生産者は消費者が買いたくなるような努力をしてくれるのではないでしょうか。
我が家のコミュニケーションの場となっている「食卓=食事」は、誰にとっても大切です。せめて、そこには本当の安心が欲しいと心から願ってやみません。 (かぐや姫)