CAP(Child Assault Prevention)講座のプログラム (子どもへの暴力防止プログラム)は、わかりやすい人権概念を教え、子どもたちがいじめ、痴漢、誘拐、虐待、性暴力といったさまざまな暴力に対して何ができるかを子ども,親、教職員、地域の人々に教えるプログラムです。
この日、私が受講した「大人の講座」では、まず「子ども講座」がどのように行われているかの説明として、実際に子どもたちに見せた寸劇を実演してくれました。また、「暴力とは何か」について、話し合いなどにより子どもたちが学習していることを知りました。さらに、参加者が実際にペアを組み、親と子になる役割劇を演じました。この役割劇では、大人の聞く態度が「忙しくて聞いていられない、めんどう、そんな事くらいで・・・」となると、子ども役はだんだん失望し、話すことが嫌になり会話もすぐに終わってしまいました。しかし、「とにかく子どもの気持ちを汲み、よく話してくれたわ、話してくれてありがとう」という態度で聞くと、子ども役は自分の気持ちを素直に整理しながら話す事ができ、会話も続くのでした。2つのパターンの劇を交代して体験する事で、子どもの感情にかなりの違いがあることが認識できました。私たち大人はいかに子どもの話をきちんと聞いていないか、また子どもの話を共感しながら聞くこと(傾聴)そして、そのままを受け止めることの大切さに気づきました。
子どもたちの安全のためには、地域の大人が子どもたちをサポートすることが不可欠です。今回の試みのように子ども講座を受ける子どもと、大人講座を受ける地域の大人が学校に集まることで、子どもたちは自分たちの安全のために真剣に取り組んでいる大人がいること、子どもの話に耳を傾ける大人がいることを理解します。また、大人講座を提供することによって、エンパワメント(子どもたちが本来持っている力)、人権意識などの考えや、暴力に対する知識、情報、技術などを大人同士が共有し、たがいに助け合う地域をつくって、地域全体で子どもたちをサポートすることができるようになるのです。
今回の子ども講座は、小学校3年生のみがクラス単位で受講しましたが、子どもたち皆が小学校生活で少なくとも1度は受講できるようになるといいと思いました。この講座により、生きていく上での「引き出し」はいくつもあるんだということを、子どもの心の片隅に残してあげたいと思いました。もちろん、暴力、いじめ、性被害などが起こらない社会が一番なのですが・・・。
— S 子 —