商店街を拠点に、広げるコミュニティ

商店街調査でわかったこと

 この夏、生活者ネットワークは市民団体とともに「商店街調査」を行いました。空き店舗状況・人の流れ・利用者の意向などに視点を置き、実際に商店街を歩きながら、中高生、子ども連れ、1人で買い物をしている男性、女性など幅広い年代の方々に聞き取り調査をしました。

まちの声から見えたもの
 大型店舗の進出により、商店街は厳しい状況に追い込まれていると云われています。今回調査した学芸大学にも、近くに大型店舗がありますが、ほとんどの方から、商店街が気に入っているという答えが返ってきました。魚屋では、捌き方や調理の仕方を教わり、料理の幅が広がったこと、八百屋では、元気な店主の声を聞き、世間話を楽しんだり、毎日の献立の役に立ったり、人生相談の場や情報交換の場になっていることがわかりました。「商店街は生活の上で必要な空間だから、なくなったら困る」との意見もありました。
商店街には大型店舗とは違った魅力があり、商品を購入するためだけでなく、人との会話やかかわりを求めて人が集まっていることがわかりました。

新たな試みで元気一杯
 昨年から、エコ(環境に配慮した)企画が商店街を活気づけています。学芸大学にある「エコ365鷹番三丁目本通り商店街」「学芸大学十字街商店街」、そして「自由が丘の商店街」が、エコスタッフ@めぐろなどの市民活動団体や市民ボランティアの協力を得て、商店街独自で環境に配慮した企画に取り組み始めました。
8月に学芸大学十字街商店街で行われた「エコ納涼祭」(環境に配慮したエコイベント)はエコ365鷹番三丁目本通り商店街と合同で行いました。フリーマーケットに飲食屋台を組み合わせ、ごみゼロをめざしました。飲食屋台のビールはガラスのジョッキ、かき氷はガラスの器、ジュースは飲料メーカの協力を得てリユースびんのみとし、びんや器などの容器を返却すると10円が戻る「デポジット」を導入しました。焼きそばは葦でできた紙トレーを利用し、ビールのつまみに出された枝豆は焼きそばの紙トレーの蓋を使うなど、徹底的にごみゼロをめざしていました。用意されたごみ箱は可燃用・生ごみ用各2個でしたが、ほとんどごみの出ない状況でした。
 また、イベントの一つとして、エコポイントカードの活用がありました。「ごみを出さない宣言」をするとポイントがもらえます。その場で金券として、フリーマーケットや飲食屋台で使えるようなしくみです。商店街ならではの特性に合わせた無理のない方法がとられていました。このような取り組みは参加者に主催者のエコに対する熱意とその意図が伝わり易いうえに、簡単で、「これなら私にもできそう、うちの商店街でもできそうだな」という印象を与えました。そして、10月に自由が丘の「女神祭り」でも環境に配慮した取り組みが行われました。
商店街は今や、情報発信の場としても機能しています。

合言葉は商店街へ行こう!
 現在、商店街によってはシャッターの下りた店舗が目立つところもあり、目黒区も商店街活性化のための支援を行っています。板橋区では空き店舗の支援策として、市民活動による「一時保育事業」が実現していますが、私たちはその地域にあった空き店舗対策や商店街の活性化に貢献できるような方策を見出したいと思っています。  
商店街が活性化することは、失われつつあるコミュニティーの再生につながります。まちに暮らす市民が拠点を持ち、行けば何かある!何かできる!そんな商店街を是非とも、つくりたいものです。